転職
〜教訓〜
こんにちは。
糸偏コラム「私の回顧録」第5回です。
前回は、アパレル業界に足を踏み入れ、営業やものづくりの現場で少しずつ経験を積んでいった頃のお話をしました。 今回はその続き、私にとって社会人としての“再スタート”となった転職について振り返ってみたいと思います。
今思えば、この転職は、仕事のやり方だけでなく、 「社会人としてどう振る舞うべきか」 「信頼とは何か」 を、身をもって教えてくれた大きな転機でした。

転職
〜教訓〜
こんにちは。
糸偏コラム「私の回顧録」第5回です。
前回は、アパレル業界に足を踏み入れ、営業やものづくりの現場で少しずつ経験を積んでいった頃のお話をしました。 今回はその続き、私にとって社会人としての“再スタート”となった転職について振り返ってみたいと思います。
今思えば、この転職は、仕事のやり方だけでなく、 「社会人としてどう振る舞うべきか」 「信頼とは何か」 を、身をもって教えてくれた大きな転機でした。

私の社会人としての再スタートの日は、今でもはっきり覚えています。 カレンダーに大きく赤丸をつけた、6月5日。
前職の引き継ぎが5月末までかかっていたこともあり、 ほんの少しだけ、気持ちと心を整える時間をつくってから選んだ入社日でした。
ちょっと気取った言い方をすれば、 この日は私の「第二の社会人人生の初舞台」。
期待と不安が入り混じった、独特の緊張感がありました。
本社は、中央区日本橋蛎殻町。 最寄り駅は人形町駅で、今なら水天宮前駅のほうが近いかもしれません。
ビルは8階建て。 グループのビルでした。 私たちの会社は、7階と8階に事務所を構え、 2階には親会社の東京営業所が入っていました。
その他のフロアには、他の企業が入居予定でした。
「いよいよこの会社の一員として働くんだな」 そんな実感が、じわじわと湧いてきたのを覚えています。
初日の業務内容については、正直なところ、あまりはっきりとは覚えていません。 おそらく、電話番や簡単な書類整理など、 「まずは職場に慣れるための仕事」だったと思います。
ただ、その日の出来事で、今でも鮮明に覚えていることがあります。 それは——いきなり副社長に叱られたことでした。
社会人人生、再スタート初日にして、なかなか強烈な洗礼です。
お昼の時間になり、 右も左も分からない新人の私に声をかけてくれたのは、 とても優しいパートの事務員さん二人でした。
「一緒にお昼行きましょ」
ありがたいお誘いに、正直ホッとしました。
ただ、実はその前に副社長から 「昼休みは交代で行くように」 という指示が出ていたのです。
ところが、パートさんたちは 「あ、大丈夫大丈夫」 と軽く言うものですから、 私はその言葉をそのまま受け取って、3人揃って外出してしまいました。
戻ってきた瞬間、空気が一変。 そこにいたのは、雷神のような副社長。
「誰が全員で行っていいと言ったんだ!」
雷鳴一閃。 初日から、しっかりと叱られました。
パートさんたちは 「私たちが誘ったんです」 と庇ってくれました。
でも、最終的に判断したのは自分。 私は、自分の確認不足だと素直に反省し、謝罪しました。
今でも思い出すと、胃のありがキュッとしますが、 この出来事から学んだことは、とても大きかったです。
それは、 「職場では、誰かの言葉よりも、正式な指示とルールを優先する」 という、ごく当たり前で、とても大切なこと。
初日だったからこそ、強く心に刻まれた教訓でした。

翌週から、いよいよ店舗勤務が始まりました。 配属先は、JR本八幡駅に直結するショッピングモール **「シャポー本八幡」**の中にある店舗です。
通勤のしやすさは抜群。 ただ、それ以上に、ここでの人との出会いが、私に大きな影響を与えてくれました。
店長は、元イトーヨーカドーの紳士売場で辣腕を振るってきた、経験豊富な方。 さらに、その上司である部長は、同じくイトーヨーカドーのマーケティング出身。
部長は、「売る」ことを知り尽くしたプロ中のプロでした。
私はというと、 「洋服が好き」 「ファッションが好き」 という気持ちはあっても、まだまだ実力不足。
まるで修行僧のように、部長の背中を必死に追いかけていました。
そんな環境で、がむしゃらに働いて半年ほど経った頃。 突然、状況が大きく変わります。
店長が本部業務を兼務することになり、 なんと、私が店を任されることになったのです。
特別な販売実績があったわけでもなく、 経験もまだ浅い。
正直、「自分で大丈夫なのか?」という不安はありました。 でも同時に、 「やるしかない」 というスイッチが、確実に入った瞬間でもありました。
店長になると、 売上だけでなく、在庫、スタッフ、シフト、クレーム対応…… 考えることは一気に増えます。
それまでの「自分が売れればいい」から、 「店としてどうあるべきか」へ。
このタイミングで、 店舗運営を本気で学ばなければいけない という意識が、ようやく芽生えました。
そして迎えた、年末商戦。 街も店も、クリスマスムードで一気に華やぎます。
そんな中、私が目をつけたのが シェットランドウールのセーターでした。
発色が良く、カラーバリエーションも豊富。 しかも、手に取りやすい価格。
「これは、いけるかもしれない」
そう直感的に感じ、 売場の演出、陳列の仕方、声かけの言葉まで、 自分なりに工夫を重ねました。
結果は——大ヒット。
初めて、 「自分で考えて仕掛けた商品が、きちんと売れる」 という体験をしました。
当時は必死でしたが、 後から振り返ると、
・なぜ売れたのか
・なぜお客様の心をつかめたのか
そんな分析も、自然とできるようになっていました。
ちょうどその頃、 販売の専門書や『店長必勝マニュアル』のような本を読み漁っていた時期でもあり、 理論と実践が初めて結びついた成功体験だったと思います。

入社から約1年半後。 私は、群馬地区のゾーンマネージャーに就任することになります。
担当は、太田市と館林市にある3店舗。 ところが、ここでまた試練が待っていました。
前任の店長たちは、すでに全員退職。 店舗の空気は重く、士気も下がっている。
まさに、 「立て直し待ったなし」 の状況でした。
この異動には、複雑な気持ちがありました。
・ 不安—— どうやって立て直せばいいのか、正直見えない。
・ やりがい—— 3店舗を任せてもらえる責任と期待。
・ そして、少しの未練—— 今の店舗で、もう少し結果を出したかった。
いろいろな感情が入り混じった転勤でした。
そんな心揺れるタイミングでの転職と昇進。 今回は、ここまでにしたいと思います。
学生時代、ただただ「好きなこと」に全力で向き合った時間。 それが、仕事の現場に出てからも、 確実に自分の支えになっている—— 今では、そう確信しています。
次回は、 「ゾーンマネージャー挑戦」 孤軍奮闘しながら、3店舗の立て直しに挑んだ日々をお話しします。
失敗も、学びも、山ほどありました。 どうぞ、次回も楽しみにお待ちください。
◀︎◀︎◀︎ 【2025年12月20日】 【2025年12月22日】 ▶︎▶︎▶︎
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